1262. 誤解より無理解、かな - JA1OWP/淺海 直之 - 2016/06/11(Sat) 10:19
尾崎様
お早うございます。球と石でどちらが綺麗か、、、、私の偏見は、石のアンプは高次の(3次はマズマズでも5次・7次・・・)奇数次歪みが良くない。場合によっては3次より5次のIMD値の方が悪いという事例も見ました。リニアアンプでIMDが良くならない時の悲劇は、結構深刻なことが多い。知る限りでは今のところ、総じて球の勝ちかな。例外は沢山あるのでしょうが。
話題的には少しずれるけれど、JA某メーカーの石式アンプ(これがベストセラーっていうのも辛い)の、押し過ぎ時のスプラッタの酷さは多くのローカル局が悲鳴を上げているところ。問題は、簡単に、一見何事も無かったように、押し過ぎた時に出る悪い状態が現れる。使っている側は、たぶん、メーターの振れ(P-out)が良くなって、ご自身側には格段の不都合は出ないし、気づかないらしいのです。ローカルの協力で適切な出力レベルまで下げて設定すると、メーターの振れはエラく寂しくなって、、、「こんなので良いのですか?電波出ていますか?」的な心理になるような、、、、これは工業製品を設計する時の基本に人間心理への配慮が足りないせいでは?と思ってしまうのですがね、、、、アンプを使って、適正な出力時のパラメーターの明快な設置。因みに、このアンプのケースでは、適正なレベル時のパワーは、確かに、「エッ?たったこんな?」みたい指示のようです。皆、不安になって、「あと少しだけ・・・!」と関連する、思い当たるツマミを右に回してしまう。お陰でメーターはピンピンと元気になって、オーナーさんも安心する仕組みです。
繰り返しだけれど、このことは本来はそもそもの石対球の問題では無いけれど、でも石は、高次の奇数次歪みには注意が必要だ、チョットした過大入力段階でも急激にIMDが劣化する、ぐらいはいえるのかな?
「ドキドキ感・・・・」:これは、元を質せば古い話と関係しているのかもしれません。本来の送信管など遙か手の届かぬ世界の話の時代、当時俄にポピュラーになってきたテレビの水平偏向出力管(でしたっけ?)を流用して、多少の無理が利く、無理すれば少しは出力が出るらしい、との当時の俗説を聞いて、見よう見まねでアンプを作って、無謀な運転をしていた。
恐る恐る電圧を上げていって、、、、未だ爆発はしないな、、、、。恐る恐る入力レベルを増やしていって、大急ぎでディップとロードのツマミを両手で回して、良さそうな(=出力最大な)点を探す。・・・・失敗は数知れず、です。途中、真空管辺りからミシミシというか、何とも言えない異音が聞こえるのは常識でした。(ドキドキ!)
その後、私達にも少し余裕が出て、自作から卒業した局がボチボチ某FL何千何百、なんて真空管式のものになったって事情は、少しは良くなったかもしれないけれど、大きく見れば大同小異でした。JAで、テレビ球ではなく、送信管が使われた最初の球は572B/T160Lかな、、、本格的送信管使用、と謳われた。でもあの球でも心細いは感じはありましたね。何か、急いでディップさせないと球も壊れる、電源部も悲鳴を上げる、のような。そういう意味ではTL922の3-500Zで、2本合わせて1KWのプレート損失に耐えられる球を使ったリニアの醍醐味を味わいました。
余談だけれど、このTL-922級以上のアンプを使っているOMでも、同調を取る時には昔の習性が抜けず、エキサイタ-側の調整も恐る恐るで、なかなか出力をフルには上げられず、上げても大慌て。直ぐに受信状態に戻して、一息入れてから続きを再開する、みたいな。何かいじましい努力、というか、(再び、ですが)ドキドキ感。挙げ句の果てに、十分な深い負荷が掛けられず、動作状態が不安定な(スプラッタしやすい環境)で運用してしまうような羽目になっていた。
石のアンプしか知らない人には分からぬ精神状態・・・如何でしょうか?こんな状態のドキドキ感は多くの人と共有出来るのでは、と。
淺海 直之
JA1OWP/KE2HP/JQ2UNY